<<<ビジネスアナリシスとソフトウェア要求の参考文献解説>>>
No.001
『要求開発と要求管理』
Karl E. Wiegers著
田沢恵、溝口真理子 訳
宗 雅彦 監修
日経BPソフトプレス刊
ISBN4-89100-529-7
IIBA日本支部のBA研究部会や、MPUFの次世代RFP研究会で活動をしていると、さまざまな方から推奨参考文献を教えてほしいというご依頼を受けます。
ビジネスアナリシスと銘打った書籍はまだまだ数が少なくて、英語のものが何冊かという現状で、それもCBAPというBABOKに関連する資格認定制度向けのものが多いという印象です。
一方、要求開発や要求定義に関連する書籍は、日本語、英語とりまぜて大量に出回っている現状ですから、どれを読んだら良いのか、どれから読んだら良いのか、悩むのも当然かと思います。
実際、わたしの本棚にある要求関連の書籍を数えたら、分析モデリング関連の書籍も含めて、ざっとで100冊近くあるので驚いてしまいました。
そうはいっても、実際、すべて読んでいるわけではなく、読み始めたけどつまらないので読むのをやめた、というものも大量にあるわけです。
そこでかなり私個人のバイアスが入るのは必定ですが、わたし個人の経験からして、有用と思われる参考文献をとりあげて、簡単な解説(といいますか感想)をしようというのが、この参考文献解説の目的です。
ですから網羅的な参考文献データベースには決してならないと思います(笑
ともあれ栄えある参考文献解説No.001は、Karl Wiegersの『要求開発と要求管理』です。
これを一番に取り上げた理由は、もちろんKarl WiegersがEllen Gottesdienerと並んで弊社のビジネスパートナーであり、またわたしが出版に携わった要求関連書籍のNo.1からですが、理由はそれだけではありません。
Karl Wiegersと言えばやはり『ソフトウェア要求』が定番で、一冊だけ読まなければならない本を指定してくれ、と言われれば『ソフトウェア要求』が良いと思いますが、内容が濃いだけに、ちょっとだけ敷居が高いかもしれません。
実際、いまだに読み返すと、新しい発見をしたりすることがあります。
そこでこの『要求開発と要求管理』ですが、原著タイトルは"MORE ABOUT SOFTWARE REQUIREMENTS"となっており、実は『ソフトウェア要求』の続編なんですね。
しかし『ソフトウェア要求』の内容をコンパクトにまとめているので、これだけ読んでも完結できますし、"ユースケースポイント法”といった比較的新しい技法の解説も加わっていますので、まずはざっと『要求開発と要求管理』の全体を理解したい人には良い書籍だと思います。
それでは『要求開発と要求管理』で解説されているKarl Wiegersの10の宇宙の真理から、ひとつだけ取り上げてコメントしてみたいと思います。
宇宙の真理 #2
要求開発は発見と発明のプロセスであり、収集のプロセスではない
わたしが知っている限り、要求の収集(gather)という言葉を使うのをやめて、引き出し(elicit)と言い出したのは、Karl Wiegersが最初だと思います。
Karl Wiegersはそういった意味では要求開発・要求定義に強い影響を与えていて、BABOKも採用している3レベルの要求モデルを最初に提案したのも彼ですね。
最近は要求開発関連のコンサルタントをおやすみしているようなので、Karl Wiegersから新しいリソースが提供されないのは非常に残念なことです。